1. 研究目的:廃材の“炭化”はどこまでコントロールできるのか?
星野村では、耕作放棄地の再生に伴い、伐採した茶の木が大量に発生します。
通常なら廃棄されるこれらの木材を資源として循環させるため、「木材の炭化プロセスを、実地でどこまで制御できるのか」をテーマに探究しました。
炭づくりは古来より伝わる技術でありながら、科学的には「不完全燃焼」「酸素量の制御」「発熱と熱分解」「炭素構造の変化」など、多様な化学的プロセスが絡む“実験そのもの”です。
2. 材料:20年放置された茶の木
今回使用した木材は、20年間誰も手を入れていなかった放置茶畑の伐採木です。
乾燥期間は8ヶ月。含水率が自然低下し、炭化に適した状態になりました。
放置茶木は密度が高いため、一般的な杉・竹よりも高品質の炭になりやすいという特徴があります。
3. プロセス:燃焼→酸素遮断→炭化
炭づくりの工程を、科学的視点で整理すると次の通りです。
STEP 1:一次燃焼
乾燥した茶木に着火し、炎が立ち上がる一次燃焼を行います。
ここでの目的は、木材内部の水分を飛ばし、炭素骨格を残しつつ揮発成分を除去する下準備です。
STEP 2:酸素を遮断し“不完全燃焼”へ
火が木の芯まで回った「ちょうどその瞬間」に、メンバー全員で土を一気に被せます。
これにより、「酸素供給が急激に低下」「火炎反応が停止」「熱分解(乾留)が持続」「炭素化が進行」という、化学的に最も重要な状態が作られます。
このタイミングを見極めるのが、炭づくり最大の難所です。
STEP 3:翌日の掘り出し
翌日、土を慎重に取り除き、内容物をふるいにかけます。
土の中から現れたのは、「叩くと金属音が鳴る」「密度が高い」「表面が均一に炭化」といった特徴を持つ、高品質の“消し炭”でした。
茶木の硬質さが、そのまま炭の強度に反映されています。
4. 科学的考察:なぜ「炭」になるのか?
今回の体験を、化学の観点から分析すると次のようになります。
① 不完全燃焼(低酸素環境)
O₂の供給が遮断されると、C(炭素)はCO₂・COへ完全燃焼できず、固体のまま残ります。
② 乾留(熱分解)
炭化の本質は「熱分解」です。木材のリグニン・セルロースが熱により分解し、ガスが抜け、炭素骨格だけが残ります。
③ 含水率と密度
茶木は密度が高いため、同じ温度条件下でも炭が硬く仕上がりやすい。これは燃焼効率にも影響します。
④ 土による熱保持効果
「土で覆う」という古来の技術は、現代的には“低酸素環境の断熱炉”を作っているとも言えます。
5. 社会的意義:資源循環への応用可能性
このプロジェクトは体験に留まらず、以下の地域課題とも結びつきます。
- 放置茶木という廃材を再資源化
- バイオマスエネルギーとしての活用
- 農村地域の循環型社会モデル
- 炭を土壌改良材として利用する可能性
- 地域行事(BBQ・焼き芋)との連動
特に、中山間地域では“捨てられるはずの資源”を活用する取り組みは、地域の持続可能性と深く関わります。
6. 志望学部別の接続例
このプロジェクトは、総合型選抜で強力な武器になります。
7. プロジェクトの価値
この活動は単なる「炭作り」ではありません。
科学実験、地域資源研究、環境課題の探究、社会実装に近いプロセス、そして一次情報に基づく確かな学びが全て揃っています。
大学が求める“深い探究 × 社会性 × オリジナリティ”が凝縮されたプロジェクトです。